歴史系ジョークブログ(仮)

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歴史的事件を判例風に言い換えるシリーズ

小さな矛盾は見逃してください。大きな矛盾は許してください。

 

 

歴史的事件を判例風に言い換えるシリーズ

 

 

方広寺鐘銘事件(評定所慶19・7)」

 

・・・本件において大御所の諱が分断され、鐘に刻まれたその一件を以てただちに豊臣家に大御所呪詛の企みありとすることは妥当ではない。しかしながら近年豊臣家が急速に軍備を進めている事、秀頼・淀両親子の反抗的な振る舞いが、本件と無関係であると断ずることは出来ない。そもそも豊臣家とは、先の関白豊臣秀吉公以来公家の頂点に立つ摂家としての責任が頑として存在するのであり、その運営には、一般的な武家よりも高度な責任が伴うものだと解される。これらの事情から考えるに、実際に文字を刻んだ僧甲に過失責任が認められることは勿論、豊臣家にも管理者責任が問われると解するのが妥当である・・・

 

 

「徳政令事件(問注所永5・3)」

 

・・・本法の目的とするところは、弘安の役によって疲弊した御家人の救済である。我が国の政治体制が京の帝とは別に武権の長としての将軍家を統治者として設置し、その支配体制として御家人体制というものが頼朝公以来根付いているという客観的事実に照らせば、当該御家人の疲弊が正当な職務の実行の結果であることに疑いの無い以上、本法の定めるところの「以前の怙却の分に至りては、本主領掌せしむべし」の一文によって生じる農民若しくは商人又はその他の非御家人身分の者が受ける負担は、御家人体制の元当然受忍すべき義務であると解され、原告の主張するような重大かつ明白な違法が存在するとは言えない。そもそも本法の定める三か条は、それによらないと御家人体制が崩壊するという極めて高度な政治的判断によって成立した物であり、そのような法を判断する事は、問注所の争う所ではない・・・

 

 

「昌泰の変(太政官昌4・1)」

 

・・・右大臣(以後甲)の受けた大宰員外師の職を極めて不当な左遷であるとして提訴した本件において、甲に明らかな過失は存在せず、また甲に大宰員外師を与える事による政治的必要性も存在しない事から、本件は不当な人事であると解される。尤も、本件が左大臣の意を酌んだか否かを問わず、最終判断を下したのが君であるという事情に照らせば、朝臣の人事に関しては君の広汎な裁量権に任されているものであるのであり、本件のような君の政治的判断による懲罰又は懲戒は、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認められる場合に限って、裁量権の逸脱又は濫用として違法になるとすべきものと解するのが相当である。