歴史系ジョークブログ(仮)

名前のまま歴史系ジョークを主に掲載するブログ。気まぐれ更新。

平家物語「行政上の強制執行」

登場人物

平清盛

平家の棟梁。京都を支配する天下人。日宋貿易に執着している。

平時忠

清盛の義弟。清盛に代わって行政を統括している。

平重盛

清盛の嫡男。有能で人当たりの良い君子だが病気気味。

 

清盛「寺社勢力に対する対策?」

時忠「はい。私は仕事柄京内を見回ることが多いのですが・・・」

ー 

時忠「おい!誰かおるか!寺の者!」

坊主「ははあ、何事でしょう?」

時忠「貴様らは前々から納税の勧告を受けているはず。何故行動しないのだ!」

坊主「はて・・・我らは朝廷に古からの租税を納めておりまする。今さら新しい税がどうのといわれましてもなあ?」

時忠「こと納税に関しては「信義則」は適用されない。取り消される事は無い!」

坊主「「特別な事情」・・・正義に反する場合は別でございましょう?」

時忠「貴様ら・・・清盛様の課した税を正義に反する違法なものだというかっ!」

坊主「これを決めるのは我らではありませんでな。尊き御方に聞いてみては?」

時忠「くっ・・・」

時忠「といった次第でございまして」

清盛「うーん、見事に論破されてんなあ」

時忠「都周辺には坊主どもが大量におります。彼奴らから税を取り立てれないと」

清盛「もういいんじゃねえの?上皇様も煩いし」

時忠「日宋貿易に支障が」

清盛「奪え」

時忠「(怖っ!)」

清盛「仮にも我らが行政権の主体である以上、不課税を見逃す訳にはいかんなあ?」

時忠「そ、そうですな(怖っ、怖っ!)」

清盛「大天狗殿(上皇)にも何を言われる筋合いはない。あくまで合法的に・・・「国税滞納処分」を課す」

時忠「行政上の強制執行の一つ「行政上の強制徴収」ですな」

清盛「告知は行った、お前が督促もした・・・それでも義務が果たされねぇならもう財産を差し押さえて払ってもらうしかねぇよなあ?」

 

ー数日後ー

 

時忠「義兄(あに)上!大変でございます」

清盛「お前がそんなに慌てるなんて珍しいな。どうしたのだ?」

時忠「先日、例の坊主どもに対し「国税滞納処分」により財産の差し押さえを行いました」

清盛「ははん、さてはそれに反発して問題でも起こしてるのか?」

時忠「は、はいっ!」

清盛「金さえ回収出来たらほっとけよ。どーせ神輿持って突撃してくるぐらいだろう」

時忠「大輪田泊日宋貿易の拠点)の改築に対して反対運動を」

清盛「殺せ」

時忠「!?」

清盛「触れをだせいっ!平家一門に逆らう輩は皆殺しじゃあ!!」

時忠「お、おまちをっ!今この時期に坊主相手に戦などしては・・・」

清盛「・・・ふふふ、じゃあ、合法的に片をつけるかの」

時忠「(目が笑っていない・・・怖すぎる・・・)」

清盛「時忠ッ!此度の大輪田泊の改築は国家の利益と国民の繁栄の為に行う極めて重要な国事行為だッ!違うかッ!」

時忠「は、はいっ!そのとおりです!

清盛「だとすれば・・・「成田新法」の援用を行えるのう?」

時忠「!!ま、まさか「直接強制」を!?」

清盛「行政上の強制執行の中でも特に強制力が強く、それが故に滅多に発動できない「直接強制」・・・義務者に直接実力を加える事が許される最終手段よ」

時忠「で、ではこれで軍を出しても・・・」

清盛「戦ではなく行政権の行使だということになる。行くぞ!」

 

ー数日後ー

 

清盛「・・・」

時忠「・・・」

重盛「・・・一体、貴方方は・・・何を考えているのですかっ!!」

清盛&時忠「ひいいい!!」

重盛「「直接強制」はその強い強制力故に滅多な事では発動してはならない、そのようなこと、私に言わせなくともお二人なら重々承知でしょう!」

時忠「も、もっともだ。でも俺は義兄上に押し切られただけで・・・」

清盛「何を言うか!実際に坊主どもを蹴散らす時誰よりも率先して行っていたではないか!?」

時忠「そ、それは日ごろの鬱憤が重なり・・・」

重盛「・・・よく分かりました。此度の判断は私怨によるものだったと」

清盛「そ、それは違うぞ重盛!折しも状況が成田空港建設の時と似ていたから・・・」

重盛「成田空港建設の際には空港建設予定地に住む住民達が相手だったからでしょう。どこが同じだというんですかっ!?」

時忠「も、最もで・・・」

清盛「でもな、今回は不作為義務だったから「代執行」もできねえんだ。どうしようもなかったんだよ、うん」

重盛「今回の場合行政上の強制執行を行うなら「執行罰」が妥当でしょう」

清盛「う、うむ。そうだな、言われてみれば」

重盛「いーや言われる前から分かっていたはずです!きっと「過料の徴収」なんかじゃ自分の怒りが収まらなかったんでしょう?」

清盛「ギクッ!」

重盛「全く・・・お二人がそのような感じですと私が死んだらどうなるのか・・・」

清盛「(ひそひそ)「即時強制」にしておけば良かったかな?」

時忠「(ひそひそ)でもあれは緊急時に二次災害を防ぐための物が主でしょう?」

清盛「(ひそひそ)だからさ、まずこっそりと寺社に火をつけて・・・」

重盛「火をつけて・・・どうするおつもりで?」

清盛&時忠「!!!」

重盛「あ、頭が痛い・・・」