歴史系ジョークブログ(仮)

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歴史的事件を判例風に言い換えるシリーズ2

書けば書くほど味が深まっていくシリーズ。なお初期値

 

歴史的事件を判例風に言い換えるシリーズ2

 

 

尊号一件事件(評定所寛3・12)」

 

・・・本件は老中松平定信公並びに征夷大将軍ひいては江戸幕府そのものに禁中並公家諸法度の定める他に朝廷並びに公家に対する権限が及ぶのかという事が争点である所、我が国の大政全てにおいて、特に禁中の役人である公家の人事権は元来君の固有の権利である事には疑いが無い。しかしながら神君以来君は徳川将軍家に大政を委任しており、その権限は元来君が有していたもの全てに及ぶと解される所、一つ公家の人事権のみがその外にあるとすることは出来ない。その解釈は君が実父に尊号を授けるという一身分行為においても異なるものでは無いというべきである・・・

 

 

「赤穂事件(評定所元16・2)」

 

・・・元禄14年3月における浅野内匠頭の殿中抜刀騒動(以後抜刀騒動)に期を発する一連の処分は適法な物であり、処分を切腹かつ御家改易にした点においても、その当不当は処分の性質上将軍の裁量次第と言うべきであり、例え後に将軍家が被害者の非を実質的に認めるような意思表示をしたとしても、その意思表示が処分の取り消し又は撤回と認められるような特段の事情が存在しない限り、抜刀騒動の当不当を争うのは妥当ではない。よって抜刀騒動の処分に不服を持った赤穂藩の浪人による殿中襲撃並びに吉良上野介殺害(以後本件)は、それが社会通念上仇討ちと認められるような外形をもち、かつ本件当事者が事件後幕府に申し出たというような事情に照らしても、それを以て正当な仇討ちという事は出来ない・・・

 

 

「嘉応の強訴(太政官嘉元・12)」

 

・・・本来僧門はその規模の大きさ如何に関わらず、鎮護国家並びに民衆の精神的安定のみを目的に存在するものであって、特定の僧門が独自の武力と神秘性を背景に政に介入する事は、道鏡の先例を見るに、それがどのような事情、背景の元に行われても許されない絶対的禁止であることに争いの余地はない。しかしながらそのような事情の下で権大納言以下検非違使の軍勢が積極的かつ現実的に僧門の軍勢を追い払わず、その結果として本来無効である人事権の行使が行われたとしても、それが権大納言ひいては入道率いる平家一門に責があるという為には、それが治天の君並びに当該人事権を行使された朝臣にもっぱら不利益を与えようとした背信的悪意が存在するか、又は彼らがその職務を怠るにつけ重大な過失があることを必要とする・・・