歴史系ジョークブログ(仮)

名前のまま歴史系ジョークを主に掲載するブログ。気まぐれ更新。

アメリカンジョークin日本史8

新年早々何をやってるんだろうね?

アメリカンジョークin日本史8

 

陸軍大将、山県有朋が演説を行っていた。

「日本国の境界線は主権線、朝鮮半島の境界線は利益線だ。この二つの線を守るため、我が国は軍拡を行わなければならないのである」

それを聞いた兵士が質問を投げ掛けた。

「では大将様、主権線と利益線はどちらが大切なのでしょう」

「それはもちろん主権線である」

「そうですか、では是非私に主権線を守らせてください」

 

藤原道長の祝宴に招かれた藤原実資は、宴の場で道長からこんな歌を詠まれた。

「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 虧(かけ)たることも なしと思へば」

それを聞いた実資は激怒した。この世が我がものだとは何という思い上がりだろうか。後日、後一条天皇に拝謁した実資は開口一番勢い込んで言った。

「君、近々朝廷に蔓延る驕り者がついには自らをこの世の支配者だと・・・」

そこまで言ったところで実資は凍り付いた。何とその場には道長もいたのである。

「・・・困ったものです。道長殿を差し置いて・・・」

 

土方歳三「君は甲州流軍学を納めているそうだが、今のご時世役に立つのかね?」

武田観柳斎甲州流軍学は信玄公以来300年の伝統がありますからな。役にも立たぬ軍学が300年も継承されると思いますか?」

 

後白河上皇平宗盛の使者と密談をしていた。戦略的な話が終わり、話は雑談へと移っていった。

「もし我ら平家が滅亡したら、どうか我らに遠慮をせず我らを滅ぼした勢力を御頼り下さい」

「何を言うか。宗盛公と朕は一心同体、このような事は片時も考えたことがない」

それを聞いた使者は感動した。しかし平家の劣勢は使者の目にも明らかだった。使者は言う。

「そのお気持ちだけで十分でございます。しかし少しだけ温情を下さるならば、どうか我らの滅亡後、宗盛公のご助命にお力添えをどうか」

「無論である。頼朝公の弟は私と懇意。きっと助命は叶うだろう」

 

新選組の隊長格、芦沢鴨と近藤勇が袂を分かったと聞き、会津藩主の松平容保は事情を近藤に尋ねた。近藤は言う。

「殿、もしも殿が新選組の隊長だったとして、やることなす事杜撰であり、大した実績もないのに徒党を組んで偉そぶるような男が自分と同じ格であったらどうしますか?」

「そのような男とは付き合いたくは無いであろうな」

それを聞いた近藤は「そうでしょう」と答え、

「きっと鴨君もそう考えたのでしょう」

替え歌法律シリーズ2

段々「歴史系ジョーク」から離れていく気がするなあ

替え歌法律シリーズ2

 

「this  game」

負担し続ける  保証人には成り下がらない

「連帯」認める  承認から始まった地獄

同情半分で  書面が導いた  債務の保証

no  no  no  return  high  lisk

ぬるい抗弁権  ばっさり切り捨てて

確実な保証を  担保されるんだ

目に映るのは  債務不履行の運命

何もかも  計算の外  終えてやる  私だけが債務を

I  use  aging  10年  以上待てない

どんな理不尽  な債務でも  消えればいいだけの話だろう?

債権者の  免除が  消滅誘う

相対的な消滅  楽しむさ

保証人(わたし)だけは保証債務(さいむ)  消えていく

 

債務者よりも  先にやってくる相手にも

連帯な限り  そこに催告はあり得ない

上辺の言い訳で  良心と引き換えに  資力を隠すな

no  no  no  claim  of  him

醜い魂胆を  きっぱり証明して

検索の抗弁  主張するんだ

こうする事は  きっと間違いじゃない

でも無駄だ  教えてくれた

抗弁権失ってこそ  連帯だ

we joint  debtor  分別  なんて許さない

負担  部分  分ける前に  連帯をまず解除だろう

言いなりじゃ  つまらない  挑んでやる

債務者の持つ債権も  駒にして

保証人(じぶん)の持つ債務  相殺して

 

委託を  うけた保証人

連帯保証人でも

求償権  行使するための 

要件を  一つも妨げないから

 

right  to  obtain  求償  妥協はしない

どんな額を  支払っても  戻ればいいだけの話だろう?

委託されず  支払っても  権利は残る

利益を受けた限度で  求めるさ

その当時  手にした  利益内

 

contrary  to  will  pay  委託受けず  同意も得ず

こんなならば  大分  免れる

現存(いま)だけの  利益(のこり)を払うだけ

 

 

解説

今回のテーマは「保証」ないしは「連帯保証」。民法の中でも結構大事な分野です。連帯保証は保証の中でも特に強い拘束力を持ってまして、通常の保証人に認められる「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」が認められていないのが大きな特徴です。え?通常の保証人にはそんな権利が認められるなんて歌の中には無いじゃないか?そんな事はありません。文章をよく見れば連帯保証人「だけ」それらの権利が認められないというのが読み取れるはずです。替え歌を読み取るとか言ってる時点で明らかに失敗な訳ですが、必要な文章を入れていない分、細かい所は結構言及しましたので(書面が導いた→保証契約は書面でしか行えない、など)まあ調べながらでもみて貰えれば幸いです(本末転倒)

 

 

 

替え歌法律シリーズ1

目指せ法律マスター

替え歌法律シリーズ1

 

crossing field

認めてた  所有する意思  過失ない善意で  

平穏に  十年の占有が所有を私に移す

20年の時が過ぎた  ここはきっと 悪意の占有 実って

かつて善意で有した  占有はどんな瑕疵纏っても  振り払ってく

逆に小さな悪意  受け継がれて  しまう 善意  なのに  継がなければ

時効期間  10年でいけた

長い占有行う時は  そう公然に

 

待っていた  消滅時効  消えれば全て

無くなって  払いようもない膨大な債務も消える 

眼を閉じ  期間を待った

それはいつも  起算点違えど  10年

繋ぐ確かな利益  重なり合って  見える権利者  援用権者

君を守りたくて  背負う保証人  時効  援用  認められた

変わらない  連帯でも

一人行使した援用は  そう相対効

 

裁判上で請求して  承認をして 

時効の完成  阻止したいもっと

 

時効利益棄てた  からだかと言え  それは  相対効  他に及ばない

知らず小さな承認  なされた場合  信じる  債権者は  君はもはや

時効利益  捨てたんだと

信じた期待守る制度は  そう「信義則」 

 

 

 解説

これはひどい。前に作った歴史の替え歌の比にならない位ひどい。やっぱ企画自体に無理がありましたね、うん。まあすると決めたからには開き直って解説をしましょう。この替え歌のテーマは「時効」です。正確には「取得時効」と「消滅時効」ですね。一番に当たる部分が取得時効、後は消滅時効についてです。取得時効とは土地を10年善意無過失で占有した場合もしくは20年悪意または有過失で占有した場合、土地の所有権を取得できるという制度です。また、占有者の承継がある場合、善悪の判断は前の占有者を基準にして行われます(重要)消滅時効は債務を十年で消滅させる制度ですが、当然ながら債権者から「請求」があった場合や、自分が債務の一部支払いなど債務の「承認」を行った場合、消滅時効は中断します。あくまで放置された債権を消滅させる制度なのです(これは取得時効も変わりませんが)。あと色々細かい用語は自分で調べてください。

 

 

「メモリーズ・ラスト」

私が認めて代理した  とある契約の最中で

利益の額を飛び越えて  私服肥やしてた

過ぎ去った契約(こと)は  戻せないんだ

相手方は思うよね  「それでいいんだ」と

知らず知れない  相手に  法がくれた保護

壊れてた  この行為  有効だから

でもねそう  相手が  知っていたなら

大丈夫  止められる  そんな例がある

心裡留保がこの場合  とても合うから

 

名前も言わないなんて  無効要件だってこと

瑕疵(キズ)だらけの代理人に  移った契約

指名した人は  問題ないから

代理人の行為能力  問わず消せず

忘れないよ  代理権  取り消しされても  

もし君の  代理権  範囲外でも

今でも  代理権  持ってなくても

表面上  与えた  事実があれば 

表見代理は成立  善意無過失で

 

無権代理は  無効だけれど

追認は遡ってく  その効力を

 

忘れないで  追認  なされなくても

変わらずに  催促し  求めていくんだ

善意で  過失ない  相手方なら

責任を  求めれる  取り消し得うる

過失有っても取消権  ならばあるから 

 

 

解説

一つ目よりマシ。中々替え歌っぽいのではないでしょうか。例によって細かい所は自分で調べていただくとして、今回のテーマは「代理」、その中でも特に重要げな「無権代理」とその中の一つ「表見代理」を重視しました。ただ残念な事にその両方を一つの歌に無理やりねじ込んだせいで割と重要な事が抜けてたりしますので、今回はその欠陥部分についての解説を。

無権代理行為についてよく問われるのは「相続」について。例えば無権代理行為を行ったAさんが、代理権を与えたという設定を勝手に付加されたBさんを相続した場合、はたまたその逆にBさんがAさんを相続した場合ですね。

Aさんが相続した場合、契約は有効になります。何せ困るのはアホのAさんだけですし。ただBさんが生前追認拒否を表明していた場合、その時点で契約が無効になります。後Aさんが誰かと共同相続をした場合も別。何せ困るのはアホのAさんだけでは無いのです。

問題はBさんがAさんを相続した場合。 BさんはただアホのAさんの被害にあっただけの可哀想な人なので、追認を拒絶する事は出来ます。ただ、アホのAさんをなまじ相続してしまったが為に、Aさんの罪まで相続してしまったとみなされてしまいます。つまり、無権代理人の責任を求められることはあるのです。まあ要するにアホの遺産を相続なんてしない方がいいという事です。

政治系寓話「アリとキリギリス(右)」

(左)だけじゃなんか偏ってるししょうがないね

 

イソップ政治寓話劇場

アリとキリギリス(右)

 

とある夏の盛りのこと、アリさんがせっせと食べ物を巣へと運んでいると、遊んでいるキリギリスさんに出会いました。
「キリギリスさん、そんなに毎日遊んでいていいんですか?いつか食べ物が無くなった時に困りますよ」
「何を言っているんだいアリさん。食べ物ならば至る所にあるじゃないか。無くなった時はその時考えるよ」
そう、確かにその時は遊んでばかりいるキリギリスさんも困らない程に食べ物が一杯ありました。あまりに食べ物が多すぎるので腐らせてしまうくらいに。しかしそんな日がいつまでも続くわけがありません。
季節は巡って冬の夜、アリさんの巣に客が訪れました。それはキリギリスさんです。
「アリさん、僕はもう三日も食べ物を食べていないんだ。どうか食べ物を恵んでおくれ」

「駄目だよ。だから私は注意を促したじゃないですか、自業自得ですよ」

アリさんは断りますがキリギリスさんは納得しません。そこで、村の長老であるクモさんに裁決を仰ぎに行きました。

「クモさん、私が夏の間必死に貯めた食料をキリギリスさんがよこせと言ってくるのです。キリギリスさんは私が働いている間遊んでいたというのに」

「なんて非道な。己の怠慢が招いた事態を他虫(たむし)に押し付けるなんて、虫の風上にも置けない」

あわれキリギリスさんは見捨てられ、その冬を越せずに飢え死にしてしまいます。それを知ったクモさんは大いに悲しみました。しかし一方では「自業自得だ」と思う気持ちも確かにあったのです。

次の年の冬、アリさんの巣に客が訪れました。それはカマキリさんです。

「アリさん、僕はえさ場をカエルさんに取られてしまって食料を取れなかったんだ。どうか食べ物を恵んでおくれ」

「嫌ですよ。これは僕が貯めた食料。どうして貴方にあげなきゃいけないんです」

アリさんはすげなく断ります。絶望したカマキリさんがクモさんの所に相談しに行っても結果は一緒。二匹ともキリギリスさんの一件から「自業自得」の考えが根強くなっていたのです。

数年が経ちました。アリさんの村には働き者の虫しか居なくなりました。彼らは食料をいっぱい持っているので、それを当てにやってきたサムライアリさん達がやってきました。アリさんたちは奴隷になりましたが別に構いません。彼らは働き者なのです。

働き者の彼らをサムライアリさん達はどんどん働かせるでしょう。近々隣の村のハチさんたちと縄張り争いをするそうなので彼らの負担はさらに増えるかもしれません。しかし、そんな過酷な日々に耐え切れず脱落する虫を見てもアリさんは何とも思わないでしょう。何故なら、それは脱落した彼らの「自業自得」だからです。

政治系寓話「アリとキリギリス(左)」

ただの皮肉な小話になってしまった気がする。

 

イソップ政治寓話劇場

アリとキリギリス(左)

 

とある夏の盛りのこと、アリさんがせっせと食べ物を巣へと運んでいると、遊んでいるキリギリスさんに出会いました。

「キリギリスさん、そんなに毎日遊んでいていいんですか?いつか食べ物が無くなった時に困りますよ」

「何を言っているんだいアリさん。食べ物ならば至る所にあるじゃないか。無くなった時はその時考えるよ」

そう、確かにその時は遊んでばかりいるキリギリスさんも困らない程に食べ物が一杯ありました。あまりに食べ物が多すぎるので腐らせてしまうくらいに。しかしそんな日がいつまでも続くわけがありません。

季節は巡って冬の夜、アリさんの巣に客が訪れました。それはキリギリスさんです。

「アリさん、僕はもう三日も食べ物を食べていないんだ。どうか食べ物を恵んでおくれ」

「駄目だよ。だから私は注意を促したじゃないですか、自業自得ですよ」

すげなく断られたキリギリスさんはその事を村の長老であるクモさんに愚痴りに行きました。それを聞いたクモさんはおお怒り。

「なんて非道な。目の前で困っている虫を見捨てるなんて、虫の風上にも置けない」

怒り狂ったクモさんはアリさんの巣に直談判。アリさんを徹底的に罵ります。なにせクモさんは正義の為にやっているので迫力も段違い。震えあがったアリさんはキリギリスさんに食料を分ける事を約束します。

その結果キリギリスさんは無事冬を越す事が出来ました。そして夏がやってくると、この反省を顧みて真面目に働くキリギリスさんの姿が。それを知ったクモさんも大喜びです。ひとまずめでたしめでたし。

しかし一匹だけめでたくない虫がいました。アリさんです。キリギリスさんが真面目に働くようになった次の年の冬、アリさんの巣に客が訪れました。それはカマキリさんです。

「アリさん、聞きましたよ。困っているキリギリスさんに食べ物を分けてあげたとか。僕にも分けて欲しいなあ」

「そんな、困りますよ」

「何てことをいうんだい、キリギリスさんは良くて僕は駄目なんて不平等じゃないか」

アリさんは必死に断りました。しかしカマキリさんの「平等」という言葉に抗いきれず、ついに食べ物を渡します。

それを聞いてやってきたバッタさんにも、ナナフシさんにも、ゴキブリさんにも食べ物を渡しました。彼らは簡単に食べ物を分けてもらうことが出来ました。最早アリさん自身にも、自分の行動が作り上げた先例を撤回する事が出来なくなっていたのです。

アリさんは必死に働きます。食べ物が簡単に手に入る夏だけではなく、寒い冬の日にも働きます。そうしないと自分の食べるものが無くなってしまうからです。

そんな生活が何年か続いたとある冬の日の事。アリさんは気づいてしまいます。自分に食べ物を求めてやってくる虫たちの一群に、真面目になったはずのカマキリさんが混じっていたのを。

それからアリさんは働くのを止めました。しかし別に飢え死にをしたわけではありません。アリさんは知っていたのです。となりの村のハチさんが、食べ物を一杯手に入れていることを。

アメリカンジョークin三国志3

曹丕が大軍を引き連れ侵攻作戦を決行。どうなる?

A  どうにもならない。惨敗する事は決まっているので今から後処理を司馬懿たちが考える。

 

アメリカンジョークin三国志

 

孔明は、援軍を求めるため呉の重臣たちと会談した。重臣の一人、張昭が皮肉交じりに言う。

劉備殿の軍には一騎当千を謳われる将軍が三人いると聞いていますが、曹操軍にあっけなく敗れたそうで」

「はい。何しろ敵は三千と言わない大軍でしたからな」

 

劉表劉備殿は平和の為に戦う仁君だと聞いておりますが、何故配下に猛将を?」

劉備「天下泰平の為に戦う為です」

劉表「戦うのですか」

劉備「戦います」

劉表「平和主義者ですよね?」

劉備「はい」

劉表「あっ、専守防衛ですか」

劉備「基本はそうですね。でも時と場合によっては自分から攻めます」

劉表「えっ」

劉備「えっ」

劉表「攻めてどうするんですか」

劉備「領地を広げます」

劉表「平和主義者じゃないんですか?」

劉備「そうですよ?」

劉表「・・・?」

劉備「・・・?」

 

孫権は往年の悲願である合肥を攻めるにあたり、配下の名将淩統に戦略を相談した。

「敵は城に籠る7000弱、自軍は私自ら率いる10万の軍勢である。どう攻めるべきだろうか」

しかし淩統は思いもがけない事を言う。

「とんでもない。必ず負けるでしょうから考え直すべきです」

「何と。城攻めは三倍の兵力が相場だという兵法をお主は知らないようだな」

「殿はどうやら敵将の実力を知らないようで」 

 

姜維の軍から脱走した兵士が魏国の軍に入った。兵士長は厳しい顔をして言う。

「悪いが脱走兵の待遇は正規兵とは違う。常時朝四時に起きて哨戒を行い、夜12時まで休みは30分。飯は昼休みに一食のみ、有事が起きれば先鋒として真っ先に突撃してもらう」

それを聞いた兵士は衝撃を受けた。懇願するように兵士長に叫ぶ。

「脱走兵の私が、そのような楽な環境にはおれません!」

 

孫家には孫堅以来勇猛の伝統がある。

当代の孫権などはそれを尊重するあまり一度も使ったことが無い程である。

アメリカンジョークin日本史7

日野富子「義尚はお酒もやらず、賭け事もしない。まさに清廉潔白、人の上に立つ器量を持った子ですわ」

足利義政「でもね君、義尚は確かまだ三歳だろう」

 

アメリカンジョークin日本史7

 

倭国の学者、藤原惺窩が儒教を学ぶため明国に渡った。明の将軍はその話を聞き、近頃不穏な動きを見せている倭国の内情を探る為、彼を自宅へと招いた。将軍は開口一番、

「実は今明国には朝鮮と連合し、100万の兵力で倭国に攻め入ろうという動きがあるのだが・・・」

と告げた。倭国の動きが噂通りであれば憤慨し、そうでないなら狼狽するはずだ、そう考えていた将軍は驚愕した。なんと惺窩は嬉しそうに笑っていたのである。

「これはいけない。恐らく倭国は噂以上に軍備を整えているに違いない」

将軍は挨拶もそこそこ、中座してどこかに行ってしまった。一人になった惺窩は不思議そうな顔で、

「何故あんなに慌てていたのだろう。私が倭国を攻める事に賛成な事は態度に表したはずだが・・・」

 

川中島の合戦において対面した武田信玄上杉謙信。彼らは戦闘に入る前に相手を圧倒するため、己が地位を誇示した。

「私は天台宗を総括する「天台座主」信玄である」

「私は戦の神、毘沙門天の生まれ変わりである」

その日は両者譲らず、睨みあったまま時が過ぎた。そしてその日の夜、謙信の陣に一枚の密書が届いた。

「そなたが毘沙門天を「信仰している」と言ってくれれば、私も天台座主に「沙門」をつけよう」

 

 鎌倉幕府の執権北条高時は出家するにあたり器量人と名高い北条守時に後を継がせようとしてこう持ち掛けた。

「今後幕府に一大事があれば命を賭して戦うと誓ってくれるならば、執権の地位を譲ろう」

しかし守時はこれを聞いても一顧だにしなかった。高時は色をなして、

「天下の政を行う役職に就くのに命が惜しいのか」

と詰った。それを聞いた守時はとんでもないという顔をして言う。

「万が一そのような役職に任じられるのであれば、その時は一命を賭して尽くしましょう」

 

 とある大藩の藩主の元に、将軍家斉の使者がやってきた。

「家斉様は、ご自身の姫を貴公に娶らせたいとおっしゃっています」

それを聞いた藩主は慌てた。何しろその姫と言うのは醜女として天下に隠れない女だったからである。しかし将軍のご意向をすげなく断ると後が怖い。そう考えた彼はこう答えた。

「まことにありがたい話ですが、私にはそれを引き受けれない訳があるのです」

「と、申しますと?」

「実は私にはひどい浪費癖があります。更に無類の女好きでもあり、側室の数は両手の指に収まりません。そのような私が天下の姫を娶るなど」

それを聞いた使者は笑いながら「そのようなご心配でしたか」と答え、

「姫はそのような事は全く気にかけません。幼き頃から御父上のそばで過ごしてますから」